私が不動産屋さんで営業マンをしていた頃に実在した”ツブシ物件”を紹介したいと思います。
ツブシ物件についておさらい
不動産屋の悪の手法、それがツブシ物件。
普通の物件を光らせるための対象として用意しているのがツブシ物件です。
なぜツブシ物件が存在するのかは過去記事でチェックしてみてください。
普通は部屋探しなんてそう何度もするものではありませんから、ツブシ物件がどんなものなのかはイメージしにくいかもしれません。
そこで今回は私が不動産屋でお仕事をしていた時に実際にあったツブシ物件をいくつか紹介してみたいと思います。
すぐ近くを2分おきに電車が走るメゾン・ド・〇チ
大阪のとあるエリアでワンルームを探した事のある人なら高確率で案内されているのがこのメゾン・ド・〇チです。
1989年に建てられた鉄骨5階建てのマンションで間取りは14㎡のワンルーム。
エレベーターはありませんがユニットバスにミニキッチンがついていてお家賃4万円(※当時)です。
その頃はワンルームマンションはだいたい18㎡くらいでお家賃6万円、築浅物件に関してはバストイレセパレートというのが当たり前という状況だったと思います。
それに比べると少し安めで場所も悪くないので、店頭で地図や物件情報を見ている分には”ツブシ物件”であることを感じさせません。
ところが実際に4階の部屋を見てみると窓を開けた視線上に線路が!
しかも大きなターミナル駅まで徒歩数分という立地なので、朝夕はずっと電車が走っているという状況です。
朝の始発から夜の終電まで窓を閉めても爆音が鳴りやみません。
鉄骨造の小さなマンションなので電車が通るたびに揺れる、そんなツブシ物件でした。
ゴキブリの巣窟!ルネッ〇ンス!
結局のところターミナル駅周辺では4万円でフロトイレセパレートの物件がなかったので、家賃上限4万円でどうしてもセパレートが良いというお客様は市内中心部を離れて部屋探しをすることになります。
地下鉄で15分ほど離れたエリアまで行くと条件を満たす物件も出てくるのですが、そんな時に見せられる有名物件がこのルネッ〇ンスです。
RC造(鉄筋コンクリート)の13階建て大型賃貸マンションで、外観も非常にしっかりしています。
エレベーターはもちろんオートロックも完備で、上層階は普通に決めブツとして案内されるような物件です。
しかしここの1階にある受水槽(タンク)横の部屋が強烈なツブシ物件になっているのです。
ワンルームマンションなので玄関ドアを開けたらこじんまりしたキレイな玄関スペースがあります。
玄関スペースの上部にあるブレーカースイッチを入れて部屋の電気を点けると・・・。
部屋中のいたるところにゴキブリの塊が!!!
まずブレーカーの上に1グループ。
入ってすぐのミニキッチンの各隅に数グループ。
部屋奥のカーテンレールの上に数匹、ロフトのはしご上にも数匹。
空き物件にはどうしてもゴキブリが出やすくなりますがここのは別格です。
格安で設備も悪くなく、駅からは若干歩きますが家賃も安い。
ゴキブリさえいなければいくらでも借り手がいそうな部屋ですが、このゴキブリが原因でずっと空きっぱなしになっている定番のツブシ物件です。
湿気を通し越してビショビショのメゾン〇山
単身者用のマンションは雑に使われることも多く、ツブシ物件やその候補になりえる物件はいくらでもあります。
対して家族用のファミリー物件は元の造りもまともなのでしょうが、住人も(単身者に比べれば)きちんと使う人が多いので強烈なツブシ物件というのはそれほど多くありませんでした。
しかし今でも記憶に残っているのがこの「ビショビショ」の物件です。
この物件は当時で築5年くらいの築浅物件で、家賃13万円で65㎡の2LDKというこのエリアにしては高級な物件でした。
外観もしっかりしていて高級感が漂っていますし、常駐の管理人さんもいて言うことなしという感じです。
なのでここも2階以上の部屋は満室が続いているような人気物件なのですが、問題は1階にある日当たりの悪い部屋なんです。
1階の部屋のベランダ側には隣のマンションの駐車場の壁が立っていて、そのせいで日当たりが非常に悪くなってしまっているのです。
そしてベランダ側にある洋室の床がカーペットになっているのですが、湿気の多い時期だと部屋に入っただけで靴下がビッチョリ濡れてしまうくらいです。
当然壁紙も湿気でカビが生えていたりめくれていたりします。
せっかくの高級マンションなのにもったいないですよね・・・。
明らかに変な物件を紹介されたら「そこは見なくて結構です」でOK
ツブシ物件を見たあとに見せられた物件は普通レベルでも良い物件に見えてしまいます。
それこそが不動産屋の狙いなので、自分の希望する条件でない部屋を強引に見せてこようとしても「そこは見なくて結構です」と断ってしまいましょう。
ただしいつまでも掘り出し物探しをしていたら希望の物件はなくなっていくというのも事実ですので、部屋探しは慎重かつ時には大胆に決断する勇気も必要です。